コンビニエンスストアのフランチャイズ契約の場合、店舗のオーナーは基本的に独立した立場であり、どの商品を仕入れるか、または仕入れないかは現場を熟知する店舗オーナーに委ねられてしかるべきです。
しかしながら、セブンイレブンやファミリーマート、ミニストップといった大手で老舗のコンビニエンスストアで、本部の担当社員が勝手に商品を発注するという『無断発注』が横行していたことが最近になって多く報じられるようになりました。
今回は我々の生活に無くてはならないコンビニエンスストアで横行している『無断発注とは』に焦点をあてて、その問題点と横行する理由についてまとめてみたいと思います。
始まりは昨年発覚したセブンイレブンの『おでん無断発注』問題
昨年、加盟店を指導する立場にある本部の社員2名が店主が不在の間に勝手におでんなどの商品を発注していたことが明らかになりました。
店主が不在の間に勝手に店の端末を使って発注したということでかなり悪質なケースだと思われますが、これ以降多くのコンビニオーナーが『うちでもやられている!』と声を上げ始めるようになりました。
セブンイレブンでは、同年11月に無断発注を行った社員2名を懲戒処分にしたと発表しましたが、その発注規模や金額などは明確にしていません。
セブンイレブンだけじゃなかった、ファミマでも無断発注をオーナーが告発
2020年の1月8日、週刊ダイヤモンドオンラインでファミリーマートの無断発注について下記のような出だしで報じられました。
ファミマよ、お前もか――。「私が経営している中では、無断発注は起きていない」と胸を張っていたファミリーマートの澤田貴司社長。ところが、オープン直後のファミマの店舗で、本部社員がオーナーに無断で商品を発注していたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。本部の地区責任者は無断発注を認めてオーナーに謝罪したが、「加盟店支援のつもりだった」と不可解な弁明に終始。無断発注は最大手のセブン-イレブン・ジャパンで問題となったが、ファミマも例外ではない。
出典:週刊ダイヤモンドオンライン
既に本部の社員から店舗オーナーに対して謝罪がされているようですが、これまでの『無断発注』の総額については知らされていないといいます。
週刊ダイヤモンドオンラインではファミリーマートの総括本部長が無断発注を認める証拠音声も掲載しています。
続いてミニストップの加盟店からも無断発注の告発!
セブンイレブン、ファミリーマートに続いてミニストップでも『無断発注』が行われていたとして女性オーナーが告発しています。
「自分が間違って入力したんじゃないかと思って、発注を取り消したことがあったんです。あとでSA(ストアアドバイザー:本部の経営相談員)さんから『消したでしょう』と強い口調で言われました」
出典:弁護士ドットコム
具体的な店名をあげたうえで、ミニストップに「事後報告で発注することは認められているのか」と尋ねた。
回答は「無断発注はNGだという社内ルールがある」としつつ、細かい発注の仕方については規定がなく、「店舗との信頼関係による」というものだった。
店舗側としては廃棄をいかに抑えるか必死に頭を悩ませているのに、こういった無断発注が当たり前のように行われているとは、利用者の私からみても呆れるばかりです。
それにしても、オーナー側も気づくすべは無かったのか?または、気づいた時に直ぐに本部にクレームを入れることは出来なかったのか?と多少の疑問も残りますが・・・。
なぜ?大手のコンビニエンスストアで無断発注がこれほどまでに横行している理由
これは単純な話で、コンビニエンスストアの本部でも地域毎に担当者がいて、売上目標という名目でノルマが課せられているからです。
フランチャイズの場合、売れ残った商品については店舗オーナーの負担となるため、本部としては多くの発注が出来ればそれだけ売り上げに計上されることになります。
本来であれば、実店舗のオーナーと本部の社員が話し合って売上をあげる施策などを考えたりするべきなのですが、単純に『無断発注』をすることで本部社員が自分のノルマを果たそうとする訳です。
これでは完全にブラック企業の平社員と中間管理職の関係と同じですよね。
また、少し前に問題視されたゆうちょ職員による簡易保険勧誘問題と構造は類似しているようにも思えます。
コンビニで横行していた無断発注まとめ
24時間営業を半強制的にさせられるコンビニエンスストアのオーナーの業務実態は一見するとンブラック?と思われるぐらい激しいものです。
それは、各店舗がひとつの企業として独立しているからこそ見過ごされてきました。
しかし、本部の社員が無断発注をして『この商品を売れ!』と無理矢理押し付けらえるのでは、コンビニエンスストアのフランチャイズそのものが『ブラック企業』と何ら変わりないものになってしまいます。
今回、セブンイレブンでは無断発注を行った本部社員を解雇したことで、問題の収束をはかろうとしているようですが、コンビニエンスストア本部そのものに上からのノルマ(圧力)があったであろうことは容易に推測出来ます。
とかげのしっぽ切りのような対応でコンビニ業界の本質が変わるとは思えませんよね。
24時間経営のコンビニエンスストアはとても便利で、あってくれた方が助かりますが、昨今ではあまりにその数が増えすぎて、お客の食い合いになってしまっているように見えます。
今の時代『大きくなり続けることは企業の宿命』というのは古い考えとなっていくと思います。
これからは、コンビニ業界も人口密度に合わせて店舗数を制限するなど、なんらかの策を講じないとこういったコンビニエンスストア問題は無くならないのではないでしょうか?
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